夢で逢えるよね

父が、死んでしまった。

とうとう死んじゃった。

いつか死ぬんだけど、

まさかホントに死ぬなんて。

あ~あ、とうとう死んじゃった。

そんな、感じ。

ほんとに死んじゃった。

死んじゃったね。

お父さん。

 

あんまり、ぴんと来ないね。

二日と半日、鯉みたいにぱっくんぱっくん息してたね。

あご、疲れたでしょ。

でも、三日目の朝、さすがにぱっくんの間隔が長くなって、

そして、ぱっくんが途絶えた。

あれ?、息は?

しないの、ほら?息、

してよ、も一回、

してよ。

お父さん。

 

さよなら、だね。

全然、ぴんと来ないけど。

結局、何も話さないままだったけど。

お父さん。

 

 

ふた月目の命日、

やっと夢で逢えた。

でも言った言葉は、

松の木の下の草を刈る道具がどっかにあっただろ?

だった。

猫と一緒に泥だらけになって、

庭で草むしりしてるいつもの姿、だった。

 

やだなー、まだそんなことしてるんだー。

 

は~い、草刈りガマの小さいやつね!

探しとくよ。

だからまた、

逢いに来てね。

夢でいいから、

逢いに来てよね。

お父さん。